相続時精算課税を選んだ時の代襲相続人の範囲

相続時清算課税制度を利用できる人の要件の一つに、贈与者の推定相続人であることというものがありますが、この相続人に、代襲相続人も含まれますか?

贈与者の推定相続人とは、贈与した日の時点で、その贈与をした人の直系卑属のうち、最先順位の相続権を有する人をいい、この相続権には代襲相続権も含まれます。すなわち、贈与者の推定相続人に、代襲相続人も含まれるということができます。
なお、推定相続人であるか否かは、その贈与の日の時点で判定を行うことになっています。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を貰った時

2013年に父から住宅取得等資金の贈与を受けました。この場合、相続時清算課税と直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例の適用を共に受けることができるでしょうか?

2012年から2014年までに住宅取得等資金の贈与を受けたのであれば、相続時清算課税と直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例を、各々の特例の要件に該当すれば、共に適用することが可能です。

 ちなみに、住宅取得等資金のほかにそれ以外の財産についても、同じ者から同じ年に贈与を受けた場合において、住宅取得等資金について贈与税の課税価格に算入される金額が存在するときには、仮に住宅取得等資金の贈与に関して相続時精算課税を選択したとすると、それ以外の財産に関しても相続時精算課税の適用を受けることになります。

そして、このような場合には、第一に住宅取得等資金の金額から非課税の特例の対象となる非課税額を差し引きます。その後、控除しきれなかった住宅取得等資金の金額とそれ以外の財産の額を合計し、その合計額から相続時清算課税の特別控除額(上限2,500万円)を差し引きます。これらの控除を経た残額に、一律20%の贈与税が課されることとなります。

相続時精算課税って何ですか?

相続時精算課税制度は、2,500万円の贈与税の非課税枠があり、税率も20%と固定されているため、多額の財産を一度に贈与する場合に有効な制度といえます。

また、この制度は、贈与者に相続が発生した場合、生前にこの制度を使って贈与した財産を相続財産に合算することになるのですが、その合算する財産の価額は、贈与時の価額とされています。

そのため、非上場株式等を株価が従前よりも大幅に下がったタイミングで、この制度を使って贈与すれば、将来の相続財産を生前に圧縮することが可能となります。

住宅取得等資金の相続時清算課税特例の為の居住時期

住宅取得等資金の贈与を受けましたが、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時清算課税選択の特例の適用を受けるためには、その資金で取得した家屋に、いつまでに暮らし始める必要があるでしょうか?

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時清算課税選択の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた者が贈与を受けた年の次の年の3月15日までに、その取得した家屋で暮らし始めなければなりません。
 ただし、次の年の3月15日までに暮らし始めることが不可能であっても、それ以後遅滞なく取得した家屋を居住用として使用することが確かであると思われるなら、この特例の適用を受けることが可能です。
 なお、贈与を受けた者がその住宅取得等資金を活用して取得した家屋を、贈与を受けた年の次の年の12月31日までに自身の居住用として使用していなければ、その日から2ヶ月を経過する日までに修正申告書を提出し、かつ、増えた税額を納める必要があります。

生前贈与の一部に相続時清算課税を適用したら?

両親から生前贈与を受け、そのうちの父からの贈与に関してのみ相続時清算課税を利用する場合において、贈与税額はどのように算出すればいいでしょうか?

仮に、生前贈与の額については、1年目は父から800万円、母から300万円で、2年目は父から1,200万円、3年目は父から1,100万円とします。この場合に、父からの贈与に関してのみ相続時清算課税を利用するときの贈与税額は、次のように算出します。
 1年目については、父からの贈与に関して、課税される金額は800万円-特別控除額800万円=0となり、翌年以後に繰り越される特別控除額は2,500万円-800万円=1,700万円となります。そして、母からの贈与(暦年課税を利用します)に関して、課税される金額は、300万円-基礎控除額110万円=190万円となり、贈与税額は190万円×10%=19万円となります。
2年目については、父からの贈与に関して、課税される金額は1,200万円-特別控除額1,200万円=0となり、翌年以後に繰り越される特別控除額は1,700万円-1,200万円=500万円となります。
3年目については、父からの贈与に関して、課税される金額は1,200万円-特別控除額500万円=700万円となり、贈与税額は700万円×20%=140万円となります。

ちなみに、相続時清算課税の特別控除を受けるには、贈与税の期限内申告を行わなければなりません。
また、相続時清算課税を利用したら、以後に撤回することは認められていません。
そして、相続時清算課税の利用に係る贈与者が亡くなった場合の相続税の課税価格に、その贈与者から贈与を受けた財産の贈与時における価額を加算する必要があります。すなわち、上記のケースにおいては、父が亡くなった場合の相続税の課税価格に、父から贈与を受けた財産の合計額3,100万円を加算する必要があるといえます。

居住用財産買換特例の時の旧居住用財産の譲渡益は?

居住用財産を買い換えて居住用財産の買換えの特例の適用を受けた場合、譲渡した居住用財産(かつての居住用財産)の譲渡益は非課税となるのでしょうか?

居住用財産の買換えの特例の適用を受けた場合、譲渡した居住用財産の譲渡益は非課税となるのではなく、その譲渡益に対する課税が繰り延べられることとされています。

 したがって、譲渡した居住用財産の取得価額は、買い換えた居住用財産に引き継がれます。この買い換えた居住用財産を、後々譲渡した場合、その譲渡所得を計算する際の取得価額は、その買い換えた居住用財産の現実の購入価額ではなく、譲渡したかつての居住用財産から引き継がれた取得価額ということになります。

相続税がない時の相続時清算課税制度のメリット

親の財産があまりないために相続税が課されないような場合には、相続時清算課税制度を選択する利点はないのでしょうか?

相続時精算課税制度は、後々相続税が課されないと思われる親子間における贈与の場合にも、利点があるといえます。

暦年課税制度では、相続財産の価額が相続税の基礎控除を上回らないために相続税の負担がない場合にも、生前贈与によって資産の移転を行えば贈与税の負担が発生します。
一方、相続時精算課税制度では、このような場合、特別控除額2,500万円を上回らない生前贈与に関しては、贈与税の期限内における申告を行えば、贈与の際にも相続の際にも税の負担が発生しません。なお、このような場合に、特別控除額2,500万円を上回る生前贈与に関しては、その上回った額には一律20%の贈与税が課されるものの、相続の際に申告を行えば、それまでに納めた贈与税額全額の還付を受けることができます。

贈与者が死亡による相続時清算課税の相続税の計算

相続時清算課税制度を利用した受贈者は、贈与を受けた財産の贈与者が亡くなった際に、相続税額の計算をどのように行えばいいでしょうか?

贈与財産の贈与の際の価額と相続財産の価額を合算した金額から相続税額を算出し、既に納付した贈与税額があれば、その相続税額からその額を差し引きます。

 相続時清算課税制度は、贈与の際に贈与財産に係る贈与税を納付した上で、贈与者が亡くなった際にその贈与財産の贈与の際の価額と相続財産の価額を合算した金額から相続税額の算出を行い、既に納付した贈与税額をその相続税額から差し引くことによって、贈与税と相続税を通じた納税をする制度であるといえます。

 そして、課税価格の合計額が基礎控除額以下である場合には、相続税の申告は不要です。なお、この場合にも、相続時清算課税制度による贈与財産に関して、既に納付した贈与税額があるときには、相続税の申告をすれば還付を受けることが可能です。

途中で贈与者の死亡による相続時清算課税の手続き

財産の贈与を受けた年の途中で贈与者が亡くなった場合において、相続時清算課税の適用を受けるときには、そのための手続きについて、通常の場合と違う点があるのでしょうか?

通常の場合と違う点は、相続時精算課税選択届出書の提出期限と提出先です。
すなわち、相続時清算課税選択届出書の提出期限は、贈与税の申告書の提出期限(贈与を受けた年の翌年3月15日が通常です)、又は贈与者の死去に係る相続税の申告書の提出期限(贈与者に関して相続の開始があったことを知った日の翌日より10ヶ月が経過する日が通常です)のうち、どちらか早い日までとされています。そして、相続時清算課税選択届出書の提出先は、贈与者の死去に係る相続税の納税地の所轄税務署長とされています。
 なお、相続時清算課税選択届出書の提出期限が、贈与者の死去に係る相続税の申告書の提出期限となる場合において、贈与者の死去に係る相続税の申告書を提出するときは、この届出書を相続税の申告書に添える必要があります。また、相続税の申告書の提出が不要であるときにも、提出期限内にこの届出書を贈与者の死去に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出することにより、相続時精算課税の適用を受けることができます。

 ちなみに、相続時清算課税選択届出書に添えるべき書類は、以下の通りとなっています。
1.贈与者の住民票の写しその他の書類(贈与者の戸籍の附票の写し等)のうち、次に掲げる内容が明らかになる書類
(1)贈与者の氏名・生年月日
(2)贈与者が65歳に達した時点以降の住所又は居所(贈与者の2003年1月1日以降の住所又は居所が明らかになる書類でも構いません)
2.受贈者の戸籍の謄本又は抄本その他の書類のうち、次に掲げる内容が明らかになる書類
(1)受贈者の氏名・生年月日
(2)受贈者が贈与者の推定相続人であること
3.受贈者の戸籍の附票の写しその他の書類のうち、受贈者が20歳に達した時点以降の住所又は居所が明らかになる書類(受贈者の2003年1月1日以降の住所又は居所が明らかになる書類でも構いません)

養子になる前後の贈与に係る相続時清算課税の適用

年の途中に贈与者の養子となった場合において、同年の養子となる前後に贈与者から財産をもらったときには、その双方の贈与について相続時清算課税の適用を受けることができるのでしょうか?

年の途中に贈与者との養子縁組等により贈与者の推定相続人となった場合において、財産をもらった年の1月1日の時点で、贈与者が65歳以上、その推定相続人が20歳以上であるとき、推定相続人となる前となったとき以降の計2回にわたって財産をもらい、この年の贈与につき相続時清算課税を選択したとします。
すると、贈与者の推定相続人となる前の贈与については相続時清算課税の適用を受けることができませんが、推定相続人となったとき以降の贈与についてはその適用を受けることができます。

なお、このときの贈与税額の計算に関しては、推定相続人となる前の贈与については暦年課税により行って110万円の基礎控除を受けることができ、推定相続人となったとき以降の贈与については相続時清算課税により行います。

相続時清算課税に係る贈与税の申告書に添える書類

財産を贈与された人が、相続時清算課税を利用する場合、贈与税の申告書に添付して提出すべき書類は、何かあるでしょうか?

相続時清算課税選択届出書を贈与税の申告書に添付して、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

 ちなみに、相続時清算課税選択届出書が添付された贈与税の申告書を提出すべき期間は、相続時清算課税を利用する贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までとされています。

 そして、以下の書類を、相続時清算課税選択届出書に添える必要があります。
1.受贈者の戸籍の謄本又は抄本その他の書類のうち、次のような内容が明らかになるもの
(1)受贈者の氏名・生年月日
(2)受贈者が贈与者の推定相続人であること
2.受贈者の戸籍の附票の写しその他の書類のうち、受贈者が20歳になったとき以降の住所又は居所が明らかになるもの(受贈者の平成15年1月1日以降の住所又は居所が明らかになる書類でも構いません)
3.贈与者の住民票の写しその他の書類(贈与者の戸籍の附票の写し等)のうち、次のような内容が明らかになるもの
(1)贈与者の氏名・生年月日
(2)贈与者が65歳になったとき以降の住所又は居所(贈与者の平成15年1月1日以降の住所又は居所が明らかになる書類でも構いません)

相続時清算課税選択届出書を提出する前に死亡した

財産を贈与され、相続時清算課税の適用を受けることが可能である場合において、このような受贈者が相続時清算課税選択届出書を提出する前に亡くなったときには、受贈者の相続人がその贈与財産について相続時清算課税の適用を受けることは可能でしょうか?

受贈者が贈与を受けた年の翌年の3月15日までに亡くなって相続時清算課税選択届出書を提出していなかったのであれば、受贈者の相続人がその贈与財産について相続時清算課税の適用を受けることは可能です。
ただし、そのためには、受贈者の相続人は受贈者が亡くなったことを知った日の翌日より10ヶ月以内に、贈与税の申告書に相続時清算課税選択届出書を添えて、亡くなった受贈者の納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

 そして、相続時清算課税選択届出書には、以下の書類を添えることとされています。
1.相続時精算課税選択届出書付表(相続人が二人以上であるときには、全ての相続人がこれに連署する必要があります)
2.受贈者の相続人の戸籍の謄本又は抄本その他の書類で、受贈者の全ての相続人が明白になる書類
3.受贈者の戸籍の謄本又は抄本及び戸籍の附票の写しその他の書類で、次の内容を証明できる書類
(1)受贈者の氏名・生年月日・死亡年月日
(2)受贈者が20歳になったときより死亡の日までの住所又は居所(受贈者の2003年1月1日より死亡時までの住所又は居所を証明できる書類でも構いません)
(3)受贈者が贈与者の推定相続人であること
4.贈与者の住民票の写しその他の書類(贈与者の戸籍の附票の写し等)で、次の内容を証明できる書類
(1)贈与者の氏名・生年月日
(2)贈与者が65歳になったとき以降の住所又は居所(贈与者の2003年1月1日以降の住所又は居所を証明できる書類でも構いません)

相続時清算課税の時の贈与税額の計算について

相続時清算課税の適用を受ける場合、贈与税額の計算はどのように行えばいいですか?

贈与税の課税価格から特別控除額を差し引いた金額に、一律20%の税率を乗じることにより、相続時清算課税の適用を受ける場合の贈与税額を算出します。

ちなみに、相続時清算課税の適用を受ける場合の贈与税の課税価格の算出については、相続時清算課税の適用対象の財産を、その贈与者以外の人から贈与された財産と区別し、その贈与者からその年に贈与された財産の価額を合算すると、その合計額が、贈与税の課税価格となります。
なお、相続時清算課税の適用対象の財産に関して、暦年課税の適用を受ける場合の基礎控除額である110万円を控除することは不可能です。

また、特別控除額の算出については、2,500万円(既にこの特別控除の適用を受けて差し引いた金額があるなら、その金額の合計額を差し引いた残額)又は贈与者ごとの贈与税の課税価格のいずれか少ない方の額が、特別控除額となります。
なお、この特別控除額を差し引くためには、原則として、贈与税の申告書に、特別控除の適用を受ける金額や、既にこの特別控除の適用を受けて差し引いた金額があるのであればその金額といった必要事項を記し、その申告書を申告期限内に提出する必要があります。

このように贈与税の課税価格から特別控除額を差し引いた金額を、贈与者ごとに算出し、その金額に20%の税率を乗じると、相続時清算課税の適用対象の財産に係る贈与税額となります。

贈与税が課税される場合について

贈与税が課税されるのは、個人から財産をもらった場合です。

 ちなみに、会社等の法人から財産をもらった場合には、贈与税ではなく、所得税が課税されます。
 なお、債務の免除等によって利益を受けたときや、自身が保険料を支払っていない生命保険金を受領したとき等には、贈与されたという取扱いがなされ、贈与税が課税されます。
ただ、亡くなった人が自身を被保険者として保険料を支払っていた生命保険金を受領したときには、贈与税ではなく、相続税が課税されます。

 そして、贈与税には、暦年課税及び相続時清算課税という二つの課税方法が存在します。このうちの相続時清算課税を利用するためには、一定の要件を満たす必要があります。